高血圧とは
血液を全身に行き渡らせるために心臓は圧力をかけて送り出しており、この圧力が血圧です。血圧が高くなると血管に負担がかかり、動脈硬化を進行させて脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などのリスクを大きく上げてしまいます。高血圧には自覚症状がほとんどなく、血圧は測るたびにある程度数値が変わるため軽く考えてしまう方も多いのですが、放置していると命にかかわる可能性があります。高血圧は適切な治療や生活習慣の改善で正常な血圧に戻すことができますから、健康診断などで高血圧を指摘されたら早めに受診してください。
高血圧の原因
高血圧は、一次性高血圧と二次性高血圧に分けられます。一次性高血圧は、身体には異常がなく起こる高血圧で、はっきりとした原因がわかっていませんが遺伝が関係しているとされており、本態性高血圧と呼ばれることもあります。二次性高血圧は病気が原因になって起こっているものです。
一次性高血圧の場合も遺伝はあくまでも高血圧になりやすい要因であり、高血圧の発症には生活習慣が大きくかかわります。
高血圧発症につながる生活習慣
塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙、ストレス、過労、運動不足、肥満、加齢などがあり、他の生活習慣病がある場合も高血圧を発症しやすくなります。
塩分の過剰摂取
血圧上昇に加え、心臓や血管へのダメージにもつながるため減塩を心がけましょう。
ミネラル不足
カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを積極的にとることで血圧低下につながります。
肥満
適正な体重を保つことは血圧コントロールにも不可欠です。
ストレス
過労や睡眠不足を含め、ストレスは緊張や興奮をもたらし、血圧を上げてしまいます。
運動不足
運動不足は血圧上昇につながります。
喫煙
血管を収縮させるため血圧上昇や動脈硬化を引き起こします。禁煙しましょう。
高血圧の症状
頭痛や肩こりなどがあって測ってみると血圧が高かったといったケースはありますが、高血圧にわかりやすい自覚症状はありません。ほとんどの場合、健康診断や他の病気で受診した際に血圧を測ってはじめて気付きます。
高血圧の予防と対策
生活習慣の見直しと改善により、高血圧の予防や適切なコントロールを行います。続けていくことが重要ですから無理なくできることから取り入れていきましょう。生活習慣の改善をしっかり行うことで薬物療法をしないで適切な血圧を保てる場合もあります。
食事
食物繊維と水分を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を心がけてください。
減塩
健康な場合は1日10g以下、高血圧症の場合は1日6g以下を心がけてください
カロリー制限
適正体重をキープしましょう。
抗酸化物質
赤ワインなどに含まれるポリフェノール、大豆などに含まれるイソフラボン、そしてカテキンやセサミノールなどの酸化防止作用を持った食品は、血管を含めた全身の老化を防ぐ効果が期待できるとされています。ただし、過剰摂取はおすすめできません。
運動
少し速足の散歩やウォーキングなどを日常に取り入れて習慣化しましょう。1駅分だけ歩く、毎日の買い物を少し遠い店まで徒歩で行くなども効果的です。
ストレス
疲労や睡眠不足の解消は特に重要です。また、緊張や興奮、怒りは血圧を上昇させるため、リラックスできる空間や時間を作り、上手に気分転換できるようにしましょう。
薬物療法
降圧剤による治療を行います。降圧剤は血圧を下げる効果がありますが、高血圧自体は治せません。血圧を長く適切な数値にコントロールし続けるためには、医師に指示された服薬をしっかり行い、生活習慣を改善することが不可欠です。年齢や既往症、血管の状態などにより適切な血圧は変わってきますので、自己判断で服用中止や減薬してしまうと危険です。
治療薬にはカルシウム拮抗薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬などいくつかの種類の薬剤があります。血圧の数値、血管の状態、他の既往症、年齢、ライフスタイルなどに合わせて適切な処方を行っていきます。