予防には弾性ストッキングの着用が有効
人間が生きている限り、遺伝子が変異して発症する可能性がある癌は、今のところ完全には回避できない病気です。禁煙や生活習慣の改善により、ある程度の予防は可能ですが、完全な予防は不可能なため、早期発見・早期治療が大切になります。
では、下肢静脈瘤の予防方法はあるのでしょうか?
下肢静脈瘤は、あしの静脈の逆流防止弁が壊れて静脈の血液が逆流することで起きる病気です。それを予防するための究極の方法は、ずっと寝ていることです。でも、そんなことは不可能です。下肢静脈瘤は人間が二本足で直立歩行している限り、ある程度避けられない病気なのかもしれません。
唯一、効果があると言われているのが“弾性ストッキングの着用”です。
立ち仕事の方には、積極的に着用をお奨めしています。われわれ外科医も立ち仕事ですので、手術中には弾性ストッキングを着用している医師が多いです。極端な話をすれば、若いうちから一生ストッキングを履き続けていれば静脈瘤を予防できるかもしれません。
静脈瘤ができやすい人
- 長時間の立ち仕事をしている方(調理師、美容師、教師、販売員、警備員、建設業などの現場仕事に携わる人)
- 50歳以上の女性
- 出産経験が多い女性
- 妊娠中の女性
- 血縁に静脈瘤がある
生まれつき静脈の弁が弱いためか、若くして静脈瘤の方もときどきいらっしゃいますが、多くは年齢と共に、あるいは妊娠や立ち仕事によって静脈の弁が傷んで静脈瘤になる人がほとんどです。したがって、女性、妊娠、立ち仕事に当てはまる人は、若いうちから弾性ストッキングを着用して予防するのがいいかもしれません。
なお、仮に静脈瘤になっても、医学の進歩により治療が簡単になっていますので、予防に関して過度に神経質になる必要は無いと思われます。
関連ページ