下肢静脈瘤とは
「足の表面の血管(静脈)がふくれて瘤(こぶ)になる」病気です。
いわゆる静脈瘤といってもいくつかのタイプがあり、原因や症状、治療法が異なります。
下肢静脈瘤には、以下の種類があります。診察では、超音波検査を使用してどのタイプの静脈瘤かを診断します。
ふくれる静脈瘤
伏在(ふくざい)静脈瘤
ボコボコとふくれる静脈瘤です。
あしの太ももの内側にある大伏在(だいふくざい)静脈が壊れるタイプと、ふくらはぎ後ろ側にある小伏在(しょうふくざい)静脈が壊れるタイプがあります。
伏在静脈瘤は、次の章に示す様々な不快な症状や皮膚疾患を合併することがあるため、治療が必要になります。このタイプの静脈瘤はレーザー治療により根本的に治すことが出来ます。
症例写真:伏在静脈瘤1-4
ふくれない静脈瘤
クモの巣状静脈瘤
糸くずのように細い血管が透けて目立つ静脈瘤です。人によって赤かったり青かったりします。女性は肌の色が白いため、目立つことが多いです。静脈瘤という名前がついていますが、ふくれたりボコボコしたりすることはありません。
症例写真:クモの巣状静脈瘤1ー3
イトミミズ状静脈瘤
また加齢とともに、足の内側を中心に目立ってくることがあります。これ自体に病的意義はないように思います。伏在型静脈瘤を合併している方は、伏在型静脈瘤の治療によりうすくなることがあります。
症例写真:イトミミズ状静脈瘤1ー3
網目状静脈瘤
クモの巣静脈瘤よりやや太い(数ミリ)静脈が網目のように目立ちます。このタイプも静脈瘤という名前がついていますが、ふくれたりボコボコしたりすることはありません。
症例写真:網目状静脈瘤
特殊な静脈瘤
1.先天性静脈瘤(クリッペルートレノーネイ症候群)
通常の静脈瘤は後天的(大人になって徐々にできる)に生じますが、幼少時より静脈瘤が目立つ病気です。クリッペルートレノーネイ症候群といわれており、先天性静脈瘤とあざ、静脈瘤側のあしが長いといった特徴があります。
症例写真:クリッペル1-4
2.陰部静脈瘤
女性の外陰部や太ももの内側や裏側に見られる静脈瘤です。骨盤内(お腹の中)の静脈が原因で生じており、経産婦に多く見られます。この静脈瘤は痛みなどの不快な症状を呈することがあります。通常の外来では正確な診断がされずに見逃されていることがあるので専門施設での診察が望まれます。
3.妊娠静脈瘤
妊娠期にのみ現れる静脈瘤です。
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