妊娠静脈瘤とは
妊娠静脈瘤は、妊娠中に見られる不快なトラブルの一つです。
妊娠前にはきれいな足だったのに、妊娠が進むにつれて、通常の静脈瘤ではみられない、太ももの裏や、あしの外側などにボコボコやクモの巣状静脈瘤が混ざっていろいろな形で現れます。
症例写真:妊娠静脈瘤1-4
静脈瘤の原因は?
子宮が大きくなることで足の血液が心臓に戻りにくくなって、足に血液がうっ滞することが原因の一つといわれています。
二つ目の原因として、妊娠すると女性ホルモンが分泌されますが、このホルモンが血管を拡張させたり、収縮を抑制したりする働きがあるために、あしの静脈がふくれて静脈瘤になるといわれています。
妊娠静脈瘤の治療は?
ただでさえお腹が張って大変なうえに、さらにあしがむくんだり、静脈瘤が痛んだりと辛い症状に悩むことがあります。
この不快な症状を取り除くために治療したいところですが、大多数の妊娠静脈瘤は出産後速やかに改善すること、また妊娠中の手術や薬の投与はおなかの赤ちゃんへの影響が心配されることから、通常は行われません。
ではどうするかというと、静脈瘤を悪化させずに静脈のうっ滞を取り除く(静脈瘤がふくれないようにする)ために、弾性ストッキングを着用したり、マッサージやあしを高くして寝るなどの対処を行います。とくに、弾性ストッキングの着用は多くの妊娠静脈瘤に効果を発揮します。
気をつけたいのは、通常の伏在型(ふくざいがた)静脈瘤と妊娠静脈瘤が合併している方がいることです。妊娠静脈瘤の方は、出産後に超音波検査で静脈瘤が完全に消えたかどうかチェックすることをおすすめします。
妊娠静脈瘤の方の参考になればと写真提供頂いた患者様の経過を供覧します。
出産前・後1
出産後はクモの巣状静脈瘤が若干残っていますがかなりきれいになっています。
出産前・後2
妊娠時は太ももの後ろにかなり目立っていましたが、出産後1ヶ月目に来院されたときには驚くほどきれいに消えていました。
出産前・後3
足のクモの巣状静脈瘤はきれいに消えています。
出産前・後4
通常みられないあしの外側に目立つ静脈瘤です。出産後は足の太さも細くなり、驚くほどきれいになっています。
出産前・後5
これほど太くなった静脈瘤も、出産後は一気に縮みます。
関連ページ